Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 14 No. 1 pp 3-9, 2024
特集1
言語聴覚士のための臨床栄養
総説
臨床栄養の基礎
宇野千晴
名古屋学芸大学 管理栄養学部
要旨
人口の高齢化および少子化と疾病構造の変化に伴い,昨今のメタボリックシンドローム,生活習慣病など過栄養を基盤とした病態だけでなく,低栄養に対する介入の必要性が高まっている.栄養障害は健康リスクをもたらし,既存の慢性疾患を悪化させる可能性があり,また低栄養はリハビリテーションのアウトカムに負の影響を与える可能性があることが知られる.したがって,栄養状態の変化をとらえ,回復を図るために適切な栄養療法を行うことにより,疾病の予防や治療につながる可能性がある.そのため,急性期,周術期,回復期,生活期などセッティングによって,それぞれの専門家が連携して対象者の状態を把握し,適切な栄養管理を行うことが期待される.
キーワード 低栄養,栄養スクリーニング,栄養アセスメント,栄養診断,GLIM基準