Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 9 No. 1 pp 74-79, 2019
特集１ さまざまな神経筋疾患を理解する
総説 シャイ・ドレーガー症候群（多系統萎縮症：MSA）
萩原聡子１）、山本祥暉１）、大堀耕資１）、榊原隆次２）
１）東邦大学医学部医学論文ユニット総説コース
２）東邦大学医療センター佐倉病院内科学脳神経内科
要旨 多系統萎縮症（MSA）は，運動障害（小脳性運動失調，パーキンソン症候）と自律神経障害を来す代表的な神経変性疾患である．MSA の自律神経障害は，泌尿器科，循環器内科，消化器内科，耳鼻科，呼吸器内科などと，脳神経内科がオーバーラップする領域であるので，本疾患をよく知り，各臓器科と協力し，患者の治療・ケアに当たる必要がある．MSA は根治が難しい難病であるが，それぞれの症状に対して適切な治療・ケアがあるので，積極的な治療介入が望まれる．
キーワード シャイ・ドレーガー症候群，線条体黒質変性症，オリーブ橋小脳萎縮症，多系統萎縮症，自律神経障害，運動障害