Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 9 No. 1 pp 46-52, 2019
特集1 さまざまな神経筋疾患を理解する
総説 多発性硬化症と類縁疾患
渡邉 充
九州大学病院脳神経内科
要旨 多発性硬化症は,脱髄病巣の時間的・空間的多発を特徴とする原因不明の中枢神経系の自己免疫性炎症性脱髄性疾患である.病変のできる部位により,運動機能障害や感覚障害,構音・嚥下障害,膀胱直腸障害などさまざまな症状を呈する.若年成人に発症し,再発を繰り返し,ADL 低下や認知症機能の低下を招くことがあるため,早期に診断し,適切に治療・リハビリテーションを行うことが重要である.一方,視神経脊髄炎関連疾患は多発性硬化症の類縁疾患の1つであるが,治療法が異なることから鑑別を要する.本稿では多発性硬化症とその類縁疾患の特徴と病態,診断,治療について概説する.
キーワード 多発性硬化症,視神経脊髄炎関連疾患,診断,治療