Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 14 No. 1 pp 36-42, 2024
特集1
言語聴覚士のための臨床栄養
総説
介護分野での栄養・嚥下・口腔管理
小蔵要司
社会医療法人董仙会 介護医療院恵寿鳩ケ丘 栄養管理課
要旨 介護分野では栄養障害が一定数で存在する.栄養障害には低栄養と過栄養があり,両者には嚥下,口腔機能が関連する.とくに低栄養は,quality of lifeの低下,死亡率の上昇,医療費の増大を生じるため,早期発見と適切な介入が必要である.近年、低栄養の診断法としてGLIM(Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準が注目されている.GLIM基準は,3つの段階で構成されており,はじめに栄養リスクのスクリーニングを行い,次に栄養リスク症例に低栄養の診断を実施する.次に,必要に応じて重症度を判定する.長期介護施設や地域での栄養介入法として,経口栄養補助食品の活用や栄養士の介入,配食,集いの場での食事提供が推奨されている.さらに,食形態のテクスチャーの改善,リハビリテーション・栄養・口腔での三位一体での介入が重要である.
キーワード 介護,生活期,栄養,嚥下,口腔