Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 14 No. 1 pp 56-59, 2024
特集2
リハビリテーションにおけるICTの活用
総説
AAGI-ICTを活用した拡張・代替コミュニケーション-
西田大輔
国立精神・神経医療研究センター病院 身体リハビリテーション部
要旨 近年,リハビリテーション医療において,技術の進歩とともに情報通信技術(information and communication technology:ICT)を活用した評価・訓練手法が普及しつつある.神経・筋疾患の患者に対するリハビリテーション診療でも,ロボットやデジタル機器を用いた治療が臨床現場で導入され始めている.国際生活機能分類(international classification of functioning disability and health:ICF)の枠組みに基づけば,「心身機能」の領域においてICTは,身体や筋活動を定量的かつ高精度に評価し,それを基に効果的なリハビリテーション訓練を行っており,さらに「活動」を広げるための有力な手段として機能している.「活動」「参加」においては患者の能力を補い,拡張することで活動を向上させることができる機器が研究開発されている.コミュニケーション分野においても,意思伝達やPCなどの機器の操作能力を向上させる機器の開発が進んでおり,活動・参加の促進につながっている.本稿ではICT機器の使用を概観しつつ,情報通信技術(ICT)を用いたコミュニケーション,特に拡張・代替コミュニケーション(augmentative and alternative communication:AAC)に焦点を当て,我々が開発してきたAAGI(augmentative and alternative gesture interface)の取り組みについて紹介する.
キーワード ICT,ICF,AAC,AAGI