Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 13 No. 1 pp 54-58, 2023
特集2
摂食嚥下障害の最新のトピックス:機器を用いたアプローチ
総説
摂食嚥下リハビリテーションにおける電気刺激法
永見慎輔
川崎医療福祉大学 リハビリテーション学部 言語聴覚療法学科
要旨
摂食嚥下障害に対して干渉波を活用した経皮的干渉波刺激療法(IFC-stimulation)が適用を拡大している.前頸部に貼付した電極から干渉波を通電し,深部に刺激を与えることができる装置が開発され,不快感を小さくして咽頭や喉頭への感覚刺激が可能となった.本装置では,嚥下反射と咳嗽反射の潜時が改善する可能性が示唆されている.しかし,実臨床のエビデンスは不足しており,今後さらなる有用性の検討が必要である.
また,摂食嚥下障害に対する神経筋電気刺激療法(NMES)は,国際的に有効性が認知され,広範な疾患を対象として用いられている.NMESは,感覚神経刺激(sNMES)と神経・筋刺激(mNMES)を行う手法が存在している.国内におけるNMESの主な使用方法としては,筋力の増大を目的としたmNMESが主に介入で用いられている.その過程で電極の配置,刺激周波数,持続時間,刺激強度といった要素が筋収縮に影響を及ぼすことが確認されている.さらに,脳血管障害に対するNMESの効果には広範なエビデンスが存在している.いずれにしても機器の特性を正確に理解しつつ用いることが,機能改善につなげるうえで重要と考える.
キーワード 摂食嚥下障害,神経筋電気刺激療法,経皮的干渉波刺激法