Academy of Neurologic Communication Disorders and Sciences (ANCDS)は,コミュニケーション障害のある成人ならびに小児のQOLの向上を目的として,1983年に設立された高度に科学的な学術組織である.設立以来今日に至るまで,本領域におけるエビデンスに基づいた臨床の発展に関して,国際的に指導的役割を果たしてきた.年に一度の割合で科学会議が開催されており,2006年度はフロリダ州マイアミで行われた.
ディサースリアの領域においても,YorkstonやDuffyたちが中心となって積極的にevidence based practice(EBP)を推進し,ガイドラインの作成にとりくんできた.拙書「ディサースリアの基礎と臨床 第1巻 理論編」の21ページでは,その研究報告一覧を示した.また「ディサースリアの基礎と臨床 第3巻 臨床実用編」はデイサースリアの治療手技について具体的に解説した専門書だが,基本的にはANCDSのガイドラインに依拠している.
ANCDSにより行われたこれらの研究報告の一部は,臨床ガイドラインとしてANCDSのホームページ上で発表されている.URLは以下である.
http://www.ancds.org/
国内では,「ディサースリアの治療についてはデータが乏しく,ガイドライン化にはほど遠い」という者もいる.しかし,こうした発言は,過去25年間の国際的発展に関して自らが浅薄であることをつまびらかにしているのである.多くの研究者たちが汗をかいて蓄積してきた知見を無駄にすることなく,私たちの臨床に活かすようにしよう.
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