Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 8 No. 1 pp 98-114, 2018
不良姿勢に伴う嚥下機能の予防・改善プログラム:嚥下をよくするポールエクササイズ(PEPIS)
西尾正輝
要旨:嚥下関連筋群のエクササイズを行なう場合,嚥下関連筋群のみに直接的にアプローチするよりも,全身に働きかけることを介して嚥下関連筋群にアプローチする方が効果がみられることがしばしばある.とりわけ,不良姿勢に起因して嚥下関連筋群に問題を呈している場合,姿勢の改善を考慮した全身的アプローチは欠かすことができない.
本稿では筆者が開発したポールエクササイズを用いて不良な姿勢に伴う嚥下機能の低下を予防・改善する手技と理論的背景について紹介した.訪問リハビリテーションなどを介して,在宅での予防的もしくは治療的アプローチとして活用されることを期待したい.
キーワード:PEPIS,嚥下障害,ポールエクササイズ,舌骨,舌骨上筋群,姿勢,加齢,在宅