Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 4 No. 1 pp 12-15,2014
─症例報告─
LSVT LOUDにより発話の改善を認めたパーキンソン病に伴う
運動低下性ディサースリアの1例
古川祐樹1) 阿部尚子1) 西尾正輝2)
要旨:パーキンソン病(以下PD)に伴う運動低下性ディサースリアに対する音声言語治療アプローチとして,LSVTLOUDはエビデンスレベルの高さが認められているが,国内ではその臨床効果に関する先行報告例はきわめて限られている.
そこで,PDに伴う運動低下性ディサースリア1例に対しLSVT LOUDを実施し,機能障害レベルでは呼吸機能の改善,発声機能の改善,口腔構音機能の改善,活動制限レベルでは声量の増大,構音の歪みの改善,プロソディー機能の改善,会話明瞭度の改善を認めたので報告する.また,本症例は軽度の認知機能の低下を認めたが,十分な効果が見られ,軽度の認知機能の低下があってもLSVT LOUDは臨床的に有効であることが示唆された.
キーワード:LSVT LOUD,パーキンソン病,運動低下性ディサースリア
1)下越病院リハビリテーション課
2)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科
受稿日:2014年9月4日 受理日:2014年10月3日