Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol.2 No.1 pp35-40,2012
─特集─
当院における脳幹梗塞に伴う末梢性顔面神経麻痺に対する
CIセラピーの臨床経過
阿部尚子1) 西尾正輝2)
要旨:従来より末梢性顔面神経麻痺に対する運動療法については,粗大で強力な随意運動が筋緊張亢進状態を増強させ病的共同運動や顔面拘縮を出現させると考えられることから,積極的なリハビリテーションの有効性が疑問視され,一般にマッサージやストレッチが主に実施されてきた.これに対して,2006年8月~2008年7月の24ヵ月の間に脳幹梗塞により当院を受診し,末梢性顔面神経麻痺を呈した全3例に対してconstraint-induced movement therapy(CIセラピー)を施行したところ,いずれも顕著な顔面機能の改善を認め,病的共同運動や顔面拘縮は出現しなかった.以上より,脳幹損傷後の末梢性顔面神経麻痺に対するCIセラピーの有効性が示唆された.
キーワード:末梢性顔面神経麻痺,脳幹梗塞,CIセラピー
1)下越病院リハビリテーション課(〒956-0814 新潟県新潟市秋葉区東金沢1459番地1)
2)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科(〒950-3198 新潟県新潟市北区島見町1398)
受稿日:2012年10月2日 受理日:2012年10月2日