Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol.2 No.1 pp7-11,2012
─原著─
健常青年群における舌筋力測定の試み
菊地晋平1) 西尾正輝2)
要旨:健常男性15例,女性15例を対象とし,舌筋力測定装置(竹井機器工業株式会社製)を用いて1)突出課題,2)挙上課題,3)右移動課題,4)左移動課題の4種類の課題を等尺性運動で実施した.測定時には頭頸部固定装置を用いて舌以外の力が加わることを抑制し,3回の測定より最大値を採択した.挙上運動課題では,下顎の代償的ないし合同運動を抑制するために,バイトブロックを臼歯に噛ませた状態で運動させた.その結果,男女両群のいずれにおいても,前方への舌の突出運動課題で最も高値を示し,次に挙上運動課題で高く,左右への移動課題で最も低値を示した.運動の種類による舌の筋力の相違を測定した報告は見当たらず,本研究結果は,健常者の舌の筋力の指標になると思われる.
キーワード:舌筋力計,舌,筋力,舌圧子
1)株式会社孫の手・ぐんまデイホーム孫の手・おおた(〒379-2304 群馬県太田市大原町156-3)
2)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科(〒950-3198 新潟県新潟市北区島見町1398番地)
受稿日:2012年2月10日 受理日:2012年3月2日