Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol.1 No.1 pp 27-32,2012
─臨床ヒント─
クライエントの日常コミュニケーションの自己評価を主軸に据えたSTアプローチ
小澤由嗣
要旨:ディサースリアのある人の評価においては,発話明瞭度や自然度が主な指標として用いられている.しかし,ディサースリアのマネジメントの目標がコミュニケーションの改善であることを考えると,これらは必ずしも十分な指標とはいえない.本稿では,われわれが検討中の日常コミュニケーション遂行度測定法について紹介した.この方法は,クライエント自身が伝達度,満足度というスケールを通して,コミュニケーション活動を自己評定するもので,評定結果を糸口として,クライエントのコミュニケーション上の問題点や目標をセラピストと共有するための一手段となる可能性があると考えられた.
キーワード:ディサースリア,コミュニケーション遂行度,発話明瞭度,伝達度,満足度
県立広島大学保健福祉学部コミュニケーション障害学科
受稿日:2011年10月29日 受理日:2011年11月12日