Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol.1 No.1 pp 13-18,2012
─総説─
リー・シルバーマンの音声治療(LSVT):その誕生から最近の動向まで
倉智雅子
要旨:パーキンソン病(PD)患者に対する音声治療法Lee Silverman Voice Treatment (LSVT)について,その誕生の経緯や研究の変遷,理論的基盤,最近の動向を中心に紹介する.1980年代後半に考案された本法は,訓練ターゲットを「大きな声を出す」という単純な行為に絞り,集中的な実施方法を通して患者の発話に対する自己校正力を徹底的に強化することを特徴としている.過去20年以上にわたって系統的な研究が続けられ,現在では,運動学習理論や神経の可塑性理論にも合致したエビデンスレベルの高い訓練法として認められている.近年はPD以外の疾患や小児,理学療法領域への応用,IT機器を駆使した訓練の開発や運用,中枢神経機構解明に向けての研究が進められている.
キーワード:LSVT,ディサースリア,パーキンソン病,音声治療,リハビリテーション
新潟リハビリテーション大学大学院リハビリテーション研究科
受稿日:2011年12月31日 受理日:2012年1月7日